スギ花粉症の舌下免疫療法について
人体には細菌やウイルスといった外敵から体を守るために免疫機能が備わっています。
ところが、普段は何でもない物質を免疫機能が、細菌やウイルスなどの外敵と勘違いをしてしまい、その結果アレルギー反応を起こしてしまいます。つまり、この免疫機能の勘違いを正す治療方法が舌下免疫療法です。
具体的には、微量のアレルゲンを免疫機能が外敵と間違わないように体内に入れていきます。時間をかけて少しずつ増量しながらアレルゲンを体内に入れ、徐々に慣らすように繰り返すことでアレルギーの発症を抑制します。
※舌下免疫療法は、指定認可を受けた医師のみが実施できる治療方法です。当院院長はこの認可を受けております。
治療の流れ
治療の前に、血液検査によってスギ花粉症であるかの診断を行います。スギ花粉症と診断され、実際の治療を希望される方には、舌下免疫療法についてのご説明の上で実際の治療を開始します。
実際の治療は、ス ギ花粉エキス剤を舌の下に1分間そのままの状態を維持した後に飲み込みます。
これを、1日1回3年以上行います。花粉症の時期ではない時も継続が必要です。1年目から花粉症の症状が軽くなる方もいます。
最初の2週間は「増量期」として少量から初めて少しずつ増やし、「維持期」となる3週目からは同じ量を服用します。
舌下免疫療法は従来の注射による皮下接種法に比べ、副作用が少なく、頻回な通院は必要ありません。
副作用
口腔内腫脹 | 3.4% |
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のどのかゆみ | 1.9% |
耳のかゆみ | 1.1% |
頭痛 | 1.1% |
アナフィラキシー・じんま疹 | 0.8% |
口内炎 | 1.9% など |
費用について
舌下免疫療法は保険適応となります。(保険証を忘れずにお持ち下さい)
診察の費用なども含め、おおよそ1ヵ月あたり3,000~4,000円のご負担(保険適応3割負担の場合)となります。
治療開始時期について
舌下免疫療法開始の時期は、一般的に12月までが最適とされています。
遅くとも12月初旬には開始されることをお勧め致します。
今期の治療開始を見送られた方は、1月~5月の花粉飛散時期には開始はできないので、スギとヒノキの花粉シーズンが終息してからの治療開始となります。6月~12月に来院してください。
通院について
最初の2週間は週1回、その後は2~4週間に1回の通院が必要です。
治療期間について
長期間の継続治療が必要です。まずは、2年ほど舌下免疫療法を行い実際の効果を確認します。
ある程度効果のある方には3~5年間の治療をお勧めしています。
舌下免疫療法は、前述の通り一般的な治療に比べて長期間を要します。ですが、花粉症の症状を一時的に抑える治療ではなく、免疫を変え、体質を改善し長い期間かけて少しずつ良くしていくという治療方法です。
効果や治療期間には個人差がありますが、長年シーズン中につらい症状に見舞われていた方で、この治療によって免疫機能が改善され良い結果をえられたという方も沢山おります。
対象年齢
5歳からが適応となります。5歳以上でも薬を1分間口の中で保持できないお子さまは適応外となります。
高齢者の方は、適応外ではありませんが、効果のある方の割合がやや少なくなると予想されます。
適応外の方
- 重度の気管支喘息患者
- 65歳以上の高齢者
- 妊娠中、授乳中、妊娠希望の方
- 5歳未満の小児、5歳以上で薬を1分間口の中で保持できないお子さま
- 悪性腫瘍治療中の方
- 重い心臓の病気を合併している方
- 免疫不全などの病気の方 治療で免疫抑制剤を使用している方