難聴の方の聞こえをよくする方法として、手術以外では補聴器しかないのが今の医学の現状です。しかし、補聴器を買ったけど良く聞きとれないと使わなくなってしまう方が多いです。メガネはかければすぐに良く見えるようになりますが、補聴器は違います。使ったからといってすぐに聞こえるようになるわけではありません。補聴器に慣れ使いこなさなければ良く聞こえるようにならないのです。
当院の補聴器外来では補聴器をうまく使いこなして、難聴の方の生活に役立つことを目標にしています。
補聴器の適応
補聴器は聞こえに不自由しているすべての方が適応です。ご本人が聞こえに苦労してないと思っていても、普段会話をしているご家族やご友人が不自由を感じている場合も適応となります。
補聴器を使いこなすには
補聴器を使いこなすには「難聴の脳」から「補聴器の脳」へ脳を変化させることが重要です。「難聴の脳」は長年の難聴の状態になれてしまった脳のことで、大きな音はうるさく感じてしまいます。補聴器をつけてトレーニングをすることで徐々に脳が変化して大きな音に慣れていきます。これが「補聴器の脳」です。「補聴器の脳」に変化するとうるさく感じずに言葉の聞き取りも良くなってきます。
このトレーニングに3か月はかかります。この期間はうっとうしく感じても毎日補聴器をつけ続けます。また、この間補聴器の調整を何度もしていく必要があります。
補聴器の種類と選び方
補聴器の種類は大きく分けて耳かけ型、耳穴型、ポケット型の3種類があります。実際使ってみてご本人が使い勝手の良いものを選んでください。
耳かけ型は最も一般的な補聴器で最近では小さくなり目立たないものやカラフルでファッショナブルなものもあります。
耳穴型は耳の穴にすっぽりと入ってしまうもので目立たないです。基本的にはオーダーメイドで、使用される方の耳の形状に合わせて作ります。
ポケット型は最も大きいもので目立ちますので相手の方に難聴とわかってもらいやすいというメリットがあります。また、補聴器自体を胸のあたりにつけますので会話する方にマイクが近く、正面を向いたまま会話可能です。電池は市販の乾電池を使いますので交換が容易で長持ちするという点で手先がやや不自由な方にお勧めです。
当院の補聴器外来
まずは当院の一般外来を受診してください。そこで難聴の原因が耳あかや中耳炎ではないか診察します。その後、聴力検査で聞こえを評価し、ご相談のうえ補聴器外来を予約します。この外来では補聴器相談医(日本耳鼻咽喉科学会認定)の資格を持つ医師と認定補聴器技能者が最適な補聴器の選択や調整、装用のアドバイスなどを行っていきます。トレーニングの期間である3か月間はがんばりましょう。
補聴器ご購入の際に「補聴器適合に関する診療情報提供書」をお書きすることもできます。この書類にて補聴器購入費用が医療費控除の対象になります。また、練馬区在住65歳以上の住民税非課税世帯の方で72,000円、住民税課税の世帯の方で36,000円を上限として練馬区の助成を受けられます。(他支給条件は下記をご参照ください)
助成金額 | 住民税課税世帯 | 住民税非課税世帯 |
---|---|---|
令和6年7月~ | 36,000円 | 72,000円 |
支給条件
これまで補聴器を使ったことがない方はもちろん、これまで使っていた補聴器がいまいちだったという方も是非ご相談ください。
聴こえの簡易チェック
聴力は年齢と共に徐々に低下して行きます。ご自身が知らない内に聴力が低下していることもあります。
下記から聴こえの簡易チェックを行ってみて下さい。
(診断用ではないので、あくまでも簡易的なものとお考え下さい)
聴こえの簡易チェックはこちら
難聴は早めに治療した方が、悪化を防ぐことができます。
年齢的にまだまだ大丈夫と思わず、少しでもご不安があれば一度耳鼻咽喉科で聴力検査を行うことをおすすめいたします。