めまいとは
めまいやふらつきは、身体に備わっている平衡機能(バランス感覚)が何らかの原因で低下したり、過敏になったりすることで、自分と外界との感覚のズレが生じて起こります。
身体の平衡機能は、耳(三半規管など)からの情報、眼からの視覚情報、足・体幹からの感覚情報が脳に伝えられることで成り立っています。これらのどこかに異常がみられると、感覚のズレが起こり、目の前が回転する感じやふらふらする感じ、雲の上を歩いているような感じなどのめまい症状がでます。
めまいがひどい場合には吐き気が出ることがあり、実際嘔吐してしまう方も少なくありません。
当院のめまい診療の特徴
当院では複雑でさまざまな原因のめまいを的確に診断し、少しでも早く苦痛を和らげられるよう治療することを第一に心がけております。
正確な診断をするためにはめまいの経過を知ることが重要ですので、まず一般の問診票に加えてめまい専門の問診票もご記入いただきます。めまいが起こった状況や伴っている症状によって診断を絞っていきますので、詳細にご記入をお願いします。
次に診察や検査を行っていきます。めまいの診察は患者さんが診察室に入ってくるところから始まっています。普通にまっすぐ歩けているようであれば軽症か今はめまいがしていないということがわかりますし、一人で歩けないようであれば重症、支えられても歩けないくらいであれば頭からのめまいを疑います。
通常、以下の検査を行います。
- 耳の中の視診
- 赤外線CCDカメラによる眼球運動検査(眼振検査)
- 神経学的検査
- 聴力検査
- 血圧測定
必要があれば次の検査も行います。
- 血液検査
- 頭部MRI検査
上記の検査を行い、めまいの原因を診断します。初診時では正確な診断がつかずに、経過を追わせていただくことで後日診断できるということもあります。
めまいの原因
めまいは耳のめまいと頭のめまいとその他全身疾患によるものに大きく分けられます。このうち最も多いのは耳のめまい(約60%)と言われています。耳のめまいは回転性めまい(グルグル)が多く、激しいことも多いのですが耳のめまいは命にかかわることは少ないです。頭のめまいは命にかかわることがあり、緊急に対応しなければならないことがあります。
めまいの原因は無数にあり、しかも耳鼻咽喉科的疾患、内科的疾患、脳神経外科的疾患、婦人科的疾患、整形外科的疾患と多くの科にまたがっているため、診断を難しくしています。危険な命に係わるめまいを見極めて、必要があればそれぞれの専門家に紹介させていただきます。耳のめまいであれば当院で専門的な治療を行います。
めまいの代表的な病気
良性発作性頭位めまい症
あまり聞きなれないかもしれませんが、最も多いめまいです。テレビなどでは「耳石のめまい」と紹介されています。頭を動かした時に耳石が三半規管の中を転がることでめまいが起こります。短時間で治まりますが、頭を動かすたびに繰り返します。
メニエール病
めまいで一番有名な病気ではないでしょうか。実際は10%ほどで多いわけではありません。めまいと耳症状(難聴、耳鳴、耳のつまり感)を繰り返す病気です。ストレスや疲れ、睡眠不足がたまったときに起きやすいといわれています。
前庭神経炎
前庭神経という三半規管の神経が炎症を起こし、何日間も回転性めまいが継続する病気で、入院になることもあります。
持続性知覚性姿勢誘発めまい
2017年に海外で診断基準ができた新しいめまいの疾患です。3か月以上持続する浮遊感や不安定感がほぼ毎日ある病気です。立位や急な動き、動くものを見た時に誘発されます。これまで原因のよくわからなかっためまいはこの疾患が多くを占めているのではないかと考えられ、注目されています。
脳血管障害
脳梗塞や脳出血がめまい症状で発症することがあります。
脳腫瘍、聴神経腫瘍
聴神経(聞こえの神経)に腫瘍ができることがあります。隣り合っている前庭神経が圧迫されることでめまいが生じ、これにより腫瘍が発見されることがあります。MRIをとることにより診断します。
めまいの治療
様々な検査後に診断し、治療方針を決定します。疾患によってそれぞれ治療法が異なりますが、疾患の理解、関連する生活習慣の見直し、生活上の留意点や今後の見通しなどをお話します。また、薬や理学療法(治療体操)を用いて改善を目指します。慢性化してなかなか改善が見られない方にはリハビリテーションを指導いたします。
めまい診療には検査と診察、お話に通常診療より長い時間を要します。
受付終了間際に来院されますと検査が十分にできない可能性があります。
スムーズな診療を行うため、めまいで受診の際には午前は11:30、午後は5:30までに受付にいらっしゃっていただくようご協力お願いいたします。