気象病外来とは
天気の影響を受けて発症したり、症状が悪化したりするものは「気象病」と呼ばれており、原因は気圧変化、気温変化、湿度変化と言われています。気温と湿度は変化に気づきやすいですが、気圧変化は日常生活で気づきにくく体調不良のみ表れてしまうことがあります。気圧変化で体調不良が起きうることを知らないとなぜ体調が悪くなったのかわからず、繰り返していると仮病と疑われてしまうこともあります。
気圧変化は耳の奥にある内耳で感じているといわれており、内耳から神経を介して脳に伝わり体調不良を引き起こすのですが、詳しいメカニズムは解っておりません。内耳は耳鼻咽喉科医が得意とするところです。また、当院の院長は長年順天堂大学にて内耳研究を行っておりました。そして、最近、気象予報士の資格を取得しました。
当院の気象病外来では気象病の中でも特に内耳に関連して起こるめまいと耳鳴りを中心に診察していきます。
気象病外来開設にあたり
数十年前からめまいで有名なメニエール病は低気圧が近づくと発作が起こりやすいといわれておりました。統計的にはわかっているもののなぜかはわかっておりませんでした。実際耳鼻科で診察をしていると、メニエール病以外でも天気の悪い日にめまいやふらつき、耳鳴、頭痛が起こりやすい患者さんが多いことに気づきました。大学病院勤務時代に内耳研究にて国内外で様々な学会や研究会に参加しましたが気圧変化の観点で内耳障害の研究をしている方はいませんでした。
しかし、近年の研究で気圧変化は内耳で感じており、ここから脳や自律神経に影響を及ぼしていることがわかりました。これは天気痛ドクターといわれる佐藤純先生の研究です。
ロート製薬とウエザーニュースの「天気痛調査2020」で天気痛は6割の方が自覚しているという統計がありますが、専門にしている医師や病院はほとんどないのが現状です。これまでの内耳研究と気象の知識を組み合わせて気象病で困っている方の役に立てないかと思い、気象病外来を開設いたしました。
当院の気象病外来の特徴
当院は耳鼻咽喉科ですので気象病といわれている症状のうち、めまいと耳鳴が主な治療対象となります。しかし、気象の変化に対応できるような生活指導や投薬をしますので最も症状として現れやすい頭痛や肩こり、関節痛、だるさなども改善することもあると思われます。
まずはどういう状況の時に体調不良が起こりやすいかを知るために症状日誌をつけていただきます。どういう時に体調を崩しやすいかがわかればあらかじめ予防ができます。予防してくことで体調を悪くさせないようにして日常生活を問題なく過ごせるようにするのが目標です。
また、内耳への影響により自律神経が乱れることにより気象病の症状が起こっているので自律神経が乱れるのを和らげるように日々の行動の改善も必要になることが多いです。食事、睡眠、運動などいわゆる健康的な生活をすることで自律神経の乱れを防いでいきます。
これらと薬を組み合わせて治療していきますが、確立された治療法があるわけではなく個人差も大きい病気ですので焦らずにじっくりと取り組んでいく必要があります。