いびき、睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは
寝ているときに空気の通り道である気道が狭くなるために起こります。狭い所を無理に空気が通るので音が鳴るのがいびきです。通り道が完全にふさがれてしまうと無呼吸となります。睡眠時無呼吸症候群とは、寝ている時に呼吸が止まる症状で「Sleep Apnea Syndrome」(通称:SAS【サス】)とも呼ばれています。熟睡を妨げるため寝不足になり、病気や交通事故にもつながりかねず、日常生活に大きな影響を与える可能性のある症状です。時々ニュースでも電車のオーバーランや車の交通事故の報道があります。
また、心臓、血管系に負担がかかるため高血圧、心筋梗塞、脳梗塞、不整脈、糖尿病、うつ病のリスクになるので近年問題となっています。
睡眠時無呼吸がある方は健常人より下記のようにリスクが高くなります。
- 高血圧:2倍
- 狭心症・心筋梗塞:3倍
- 脳血管障害(脳梗塞、脳出血):4倍
- 糖尿病:1.5倍
このような症状が見られる時はご相談ください
【睡眠時】
- よくいびきをかく
- 睡眠時に息が止まることがある
- 息苦しさで目覚める
- 夜中に何度もトイレに行く
【日中】
- 頻繁に居眠りをする
- 朝、頭痛がする
- 記憶力・集中力の低下
- 疲れやすい
- 長い時間寝ても寝足りない感じがする
どうして睡眠時無呼吸症候群になるのか
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状が見られる場合の理由・原因は色々ありますが、主に下記のようなものが挙げられます。
- あごや首回りに脂肪がついている
- あごが小さい
- 鼻がつまりやすい
- 舌、のどちんこ、扁桃腺(口蓋扁桃)が大きい
基本的には太り気味の方に多い睡眠時無呼吸症候群ですが、アジア人は骨格的に気道がつぶれやすく、あごが小さいなどの身体的特徴から痩せている方でもなることがあるので要注意です。
小児のいびき、睡眠時無呼吸症候群
お子さんでは大人と異なり鼻の奥にあるアデノイドやいわゆる扁桃腺(口蓋扁桃)が大きいことがいびき、睡眠時無呼吸の原因となっていることが多いです。アレルギー性鼻炎がある場合には鼻づまりも関与します。アデノイドや口蓋扁桃は成長とともに小さくなりますが、お子さんで無呼吸がある場合には
- 成長ホルモンが出なくなることによる成長障害
- 落ち着きがない
- 成績が下がる
- おねしょをいつまでもする
- 怒りっぽい
- 胸の骨の変形
などが起こることがあり、積極的に治療が必要になることがあります。
いびき、睡眠時無呼吸症候群の検査
睡眠時無呼吸症候群は、その名の通り、睡眠時のことなので眠っている状態での検査を行うことになります。
簡易検査
鼻や指に装置を付け呼吸状態をみる検査機を装着し眠っていただきます。この検査により、呼吸やいびき、体内の酸素濃度などを確認します。
入院の必要がなく、自宅でご使用頂けますので、日常生活に支障をきたすことはあまりないと言って良いでしょう。
保険診療も可能ですので、お気軽にお問合せください。
精密検査(PSG:終夜睡眠ポリグラフ検査)
顔や頭に電極を付けて脳波や呼吸、酸素の状態、体の位置、心電図などを測定し、睡眠の質や状態をより精密に検査します。簡易検査でRDI(呼吸障害指数)が40未満だった場合に実施いたします。
従来この精密検査(PSG:終夜睡眠ポリグラフ検査)は入院して行うことが一般的でしたが、当院では感染予防対策、患者さんの負担費用軽減、患者さんのお時間の有効活用の観点から、ご自宅で行うことができる精密検査を導入しています。検査機器については郵送にての受け取り、返却が可能であるため大変便利です。こちらも保険診療対応です。
治療方法について
CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法)での治療
CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法)とは、特殊なマスクを睡眠時に着用し、気道へ空気を送り込むことで気道がふさがるのを防ぐ方法です。即効性があり効果的かつ副作用もあまりないので、日本ばかりでなく世界的にも広く普及しています。
合併症の予防や改善といった面においても好影響が認められており、中等症から重症のSASの方は保険適用です。
ただし、健康保険でこの治療法を行うためには、最低でも月に1度の受診が必須となります。
マウスピース(口腔内装置)での治療
マウスピースはいびき、無呼吸の程度が比較的軽症の方に適した方法です。就寝時に装着することで、顎を持ち上げて気道がふさがるのを防ぎます。
使用するマウスピースについては、専門の歯科医院で歯型を取らせて頂き、患者様に適したものをオーダーメイドにてご用意します。
手術
鼻づまりがある場合は鼻づまりをよくする方法として粘膜を焼いて収縮させるレーザー手術(当院で日帰りで可能)や全身麻酔での鼻を広げる手術(総合病院紹介します)があります。
お子さんでは鼻の奥にあるアデノイドやいわゆる扁桃腺(口蓋扁桃)が大きいことがいびき、睡眠時無呼吸の原因となっていることが多いので、薬で改善しない場合は手術でこれらを切除して気道を広げることもあります(全身麻酔)。