耳鳴を経験したことがある人は約22%と言われ、そのうち24%は常時耳鳴がなっているという統計があります。気になってしまい生活に支障がある場合には治療をお勧めします。
耳鳴とは外部に音がないのに本人にのみ聞こえてくる音のことです。音はジーだったりキーンだったり複数の音が聞こえたりと様々です。
実は耳鳴は誰にでもあるのです。完全に音のないところへ行くと「シー」というかすかな音が聞こえる感じがします。アニメなどで静かな時に「シーン」と表現しますね。これは耳鳴なのです。普通に生活していれば周りの音でかき消されてしまうので、これを聞き取ることはできません。
しかし、難聴になると状況が変わってきます。難聴により脳の聴覚をつかさどるところへの刺激が少なくなると脳は音に対する刺激を増幅(大きく)させようとします。この脳の変化により普段自覚されない耳鳴も大きくなり、聞こえてくるようになるのです。つまり、脳が変化することによって耳鳴が起こっていると最近では考えられています。そして、不安や緊張、ストレスや睡眠不足があると「苦痛を感じる脳」が刺激されて耳鳴が大きくなると言われています。
また、常時耳鳴がなっている人は不安、体のことが心配、眠れない、イライラするなどの症状が現れやすいといわれていて、これがストレス、不眠となり、さらに耳鳴りを悪化させ、悪循環になってしまうことがあります。
耳鳴の検査
- 耳の中の診察
- 耳垢や中耳炎がないか確認します。
- 聴力検査
- 耳鳴があるときは聴力が悪くなっていることが多いので聴力検査をします。
- 頭部MRI
稀ですが耳鳴の原因が聞こえの神経にできた腫瘍のことがありますので、頭部MRI検査にて聴神経腫瘍などがないか調べます。
耳鳴の治療
耳鳴の正しい理解
耳鼻咽喉科で検査をして危険な耳鳴ではないか診断しましょう。危険な耳鳴でなければ上記の耳鳴のしくみを正しく理解することで不安を取り除き、「苦痛を感じる脳」の刺激を少なくし、悪化を防止します。
音のある環境での生活
静かなところでは耳鳴が目立ってしまいます。音のある所では耳鳴を感じない、または気にならないという方が多いです。耳鳴が目立って気になってしまっていると脳がどんどん耳鳴を大きくしてしまいます。音のある環境下で生活することにより耳鳴が気にならないようにしていきます。
音は音楽でもテレビでも何でもよいのですが、ご希望がなければ波の音が良いという報告があります。
薬物療法
耳の栄養剤や循環改善剤、ビタミン剤、漢方薬など耳鳴りに特効薬はないのですが一定の効果は期待できます。2ヶ月ほど継続して効果判定します。
補聴器、サウンドジェネレーター
補聴器を使ってより多くの音を脳に入れることによって、脳への刺激が増えます。そのことで耳鳴を大きくするよう変化してしまった脳を元に戻して耳鳴を小さくします。サウンドジェネレーターとは補聴器のような機械で、耳鳴に近い音をだして、一日数時間聞いていき、雑音に脳を慣らしていき、耳鳴を感じづらくするものです。当院でも扱っております。
最初の目標は「耳鳴をなくす」ではなく「耳鳴がしていても支障なく普段の生活ができる」にしてあせらずじっくり治していきましょう。